(前回の続きとなります)

年が明け、いよいよ全国大会が始まりました。

本来ならばテレビの前にかじりつきたいところでしたが、教室の方は冬期講習の後半戦へ入ったばかり。そうはいきません。

平静を装いながら授業をしていたものの、試合の時間になると私もエンちゃんもそわそわ状態で、休み時間のたびに、試合の速報をネットでチェックする有り様でした。

彼の高校は29年ぶりの全国大会出場でしたが、凄いことにあれよあれよと準々決勝まで勝ち進みました。もちろん、結果を知るたびに、教室は喜びと驚きに沸きました。

そして、準々決勝が行われた1月5日の午後。

もうさすがにエンちゃんは我慢ができなくなったようで、その日のキックオフの時間帯には偶然なのか意図的なのか、エンちゃんの授業コマが存在していませんでした(汗)

「まかせとけ!俺がみんなの分まで応援してくるから。」

自分に都合の良すぎる大義名分を残して、テレビのある自宅へ教室からスキップしながら向かってしまいました。

一方、留守番を押し付けられた私の方は、30分に一度ほど、生徒と一緒に自分のガラケーでチラッと試合の経過を確認することになりました。

状況がよく飲み込めない生徒も、「ほら、いつも最終コマの途中に来ていた・・」と伝えると、「あーーっ!」と合点のいく様子でした。

― 先月まで教室で授業を受けていた生徒が、画面の向こう側で昨年の準優勝校と懸命に戦っている ―

それは私だけでなく、生徒達にとっても、感動的な光景でした。

そして、彼にとって高校最後の試合が幕を閉じました。

☆ ☆ ☆

まだ、興奮冷めやらぬその日の夜。

9時半を回った頃、突然、自動ドアが開きました。

なんと、そこに立っていたのは、数時間前にテレビ画面越しに見ていた人物。

「合格体験談用の原稿用紙をもらいにきました~。」

清々しい声が教室に響き渡りました。

嬉しいことに、昨年12月の合格発表の日にエンちゃんがさらっと言っていたことを、きちんと覚えていてくれたのです。

☆ ☆ ☆

2020年は突然のコロナ禍により、甲子園をはじめとして、多くの大会が中止に追い込まれてしまいました。

そのため、スポーツに青春を捧げた高3生のほとんどが、最後の引退試合さえ叶わずに、泣く泣く部活を去っています。

そのような状況の中で、文武両道を最後までやり遂げて卒業を迎えられた彼は、本当に幸せだと思います。

コロナ禍にめげず、二足の草鞋を最後まで履き続け、高校生活を駆け抜けた1人のジャム生。

そんな清々しい生徒を、今年度の合格体験談の第1号として掲載できることを、私は誇りに感じると同時に幸せに思います。

2021年合格体験談は、近日中に公開予定です。