蜘蛛の”意図”

「あ、蜘蛛だ!」

授業中、天井に近い壁に小さなクモが止まっているのを生徒が見つけました。

「クモは神聖な生き物なので、殺してはいけない。」

そんな昔から言われているジンクスが頭をふとよぎり、殺生は避けました。

生徒に了解を得た上で、そのままにして授業に戻りました。

10分くらい経った後、クモがいた方向に目を遣ると、すでにクモは天井という大海原に旅立っていました。

サカサマの状態で、前へ前へと進んでいました。

「なんか、クモって、凄いよなあ~」

生徒たちと一緒に天井を見上げながら、そんな風に感心していました。

更に10分後…

天井を見ると、クモはすでに教室の反対側に到達しかけていました。天井をひたすらに伝わって、教室を横断したことになります。

再び授業に戻りました。もちろん、クモはそのままにして。

とは言え、なんか気になってしまうもので、5分後にまた天井を見上げました。

残念なことに、もうクモの姿はありませんでした。

あり得る可能性としては、

1 天井を渡り切って、どこかに行ってしまった。

2 すべって落下した。

先ほどまでクモがいた天井のちょうど真下に、エンちゃん机があることに気付きました。

エンちゃん愛用のタンブラー中には、キンキンに冷えたコーヒーが入っていましたが、

まさか、ねえ…。

まだ怖くて、本人には確認しておりません。

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