ふだんがプレミアム
学校の授業見学に関する話です。
Kさん:「いつも不真面目な先生は、大事な場面で復讐されます。」
8年ほど前、当時のジャム生であった女子高生から聞いた、授業見学に関するちょっぴり怖い話です。授業中の雑談にしては、ちょっと重すぎる内容でした。
私も中高生時代に経験がありますが、外部の人間が授業を見学に来る日(昔で言うところの授業参観日など)には、99パーセントの確率で、先生方の張り切り方が違います。
いつもは言葉遣いや板書が荒々しくて高圧的な先生が、いきなり自前で用意したイラストやグラフを使い、良心的な授業をしてくる訳ですよ。
そりゃあ、ビックリしますって。…生徒が。
できることならば、「毎日授業参観日であってほしいなあ~」と、中学・高校時分の私は思ったものでした。
もちろん、今更それを揶揄するつもりはありません。もう時効というか、所詮は人間ですから。
意識高い系(笑)と同じで、誰だって人生の大勝負の時には、できるだけ自分を“盛っておきたい”と思うのが自然の流れです。
私がその立場だったとしても、間違いなく同じことをしているでしょう(キリッ!)
とは言えど、切なく感じるのは、生徒側もそういう“大人の事情”って、しっかり分かっているところなんです。
Kさんが、まさにそれに触れてくれました。
Kさん:「…で、普段ちゃんと教えてくれる先生の場合は、みんなで盛り上がって応えるんです。小さなギャグにも、大爆笑したり。教科書に普通に書いてある説明にだって、“目から鱗”の顔を見せたりと…。実際、何を言っているのか、よく分からない時でも(笑)」
Kさん:「なんか、見学者の前で“いい格好をさせてあげたい”と思うんです。もちろん、打ち合わせなんてしていませんよ(笑)」
Kさん:「普段は適当なくせに、その時だけ張り切っている先生に対しては、冷めた反応をします。」
聞いた話によると、大勢の見学者がいる授業の中で、わざと答えが出ない“どうでもいい質問”を浴びせるのだそうです。その先生も、部外者のいる前では適当にあしらえませんから、そのまま泥沼へ引きずり込まれていきます。
Kさん:「それだけで、授業が終わったこともあります。先生は、仕込んできたネタとか、授業で披露したかったでしょうが。」
授業で見せ場を作らせない、という形で復讐を遂げるのです。
そんな話を聞いた時、授業は先生一人でやるものではなく、生徒の協力あってのもの、という基本中の基本を噛みしめました。
当時の私は、まだ真面目に学校の説明会に頻繁に足を運んでいました。(今が不真面目という訳ではありませんが…)
説明会に参加すると、運が良ければ昼飯にありつけたり、図書カードがもらえたり、授業風景を見学させてもらえます。
いくつか私立中高の授業を見学させてもらいましたが、彼女が言っている事は的中しています。
とある中高一貫女子校で、英語の授業を見学した時、彼女に言わせれば、おそらく前者に相当する先生がいました。
知らない人間が教室にずら~っと並んでいたので、その先生はよっぽど緊張されていたのか、かなり突っ走り気味で授業をされていました。しかし、生徒の反応は、尋常でないほどに素晴らしかったんです。先生を助けようとしている生徒たちの想いが、痛いほどビンビン伝わってきました。
「この先生はきっと、“生徒しかいない授業”で、いつも真摯な姿勢で生徒に接している。」
そう感じました。
高校生くらいになると、いくら相手が先生と言えども、“大人の世界の事情”なんてものは、しっかり理解しているんです。だから、普段から一生懸命授業をしてくれる先生に対しては、こういう場面で自然と恩を返していくのでしょう。
恐ろしいほどに、見事な因果応報ですね。
Kさんのセリフは、現職の教師だけでなく、同業者の方にも、警鐘として響くところがあると思います。もちろん、自分も含めて(ドキッ!)