まだ早い?
およそ八年前のこと、教室の片隅に白い電子辞書が残されていました。
「やれやれ、生徒の忘れ物か・・」
その時は、まさかこの白い電子辞書が、そのまま“相棒”になるとは思ってもいませんでした。
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電子辞書の発見から数週間・・持ち主が名乗り出ない状態が続きました。
捜索範囲を広げ、卒業生にも問い合わせましたが、所有者は依然として不明のまま。
破棄する訳にもいかないので、結局、英語の講師でありながら電子辞書を持っていなかった私が(笑)、持ち主が見つかるまで“保管”することになりました。
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最近の電子辞書は、もう色々と次元が違いますね。
画面は本当に鮮やかですし、収録されている辞典の数なんて、完全に桁違い!
八年来となる“白い相棒”は、今や骨董品として扱われています。私はジャムで最も古い電子辞書の愛用者。
そろそろ新しい機種を・・と考えても良い頃ですが、現在はオンライン辞書がとっても充実しているので(大量の例文が“どどどぉーーっ!”と一気に表示される快感を覚えてしまうと、もう元に戻れません)、不便は感じていませんでした。
先日、ふとしたキッカケから、高三生のYさんが愛用する電子辞書(同じメーカーの同じシリーズで、二年前に購入)を使わせてもらいました。“タッチパネル式”の画面を見て、いきなり驚愕してしまった私は、もはや文明人に出会ったばかりの原始人と同じ状態・・
Yさん「で、こうやって文字をなぞると、ほらっ、色が付くんです!紙の辞書に、マーカーを引くような感覚ですよ。」
心の優しいYさんは、“必死に笑いをこらえながら”、私に使い方をレクチャーしてくれました。
Yさん「それから・・・」
原始人「ふむふむ、ほうほう。」
Yさん「さらには・・・」
原始人「うおおーーっ、なんじゃこりゃーーっ、すげえええーーっ!!」
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その日の深夜、私はネットショッピングの電子辞書コーナーを徘徊していました。
あとはいよいよ、購入確定ボタンをクリックするのみ!となった時、
原因は私の足。パソコン本体の電源コードを、無意識に“ブチッ”と引っこ抜いてしまったようです。
足癖の悪さに呆れながら机の下を覗いた時、ふと目に留まったのは、床でじっとしていた“白い相棒”。
もうしばらく、待ちなさい!ってことか・・な?