バスストップ(2)

(前回の続きになります)

クレーマー乗客:「これじゃあ、47分の電車に間に合わないよな!!」

3回繰り返して、どこかの席に座りました。

確かに雨ということもあり、バスは5分ほど遅れていたと思います。

でも、台風の日に遅延は仕方のないこと。運転手に非はありません。

どうしてもその電車に乗る必要があるのなら、もう一本前のバスに乗るなり、他の方法があったはず。しかも、夕方の時間帯ですよ。電車なんて数分ごとに発着するのに。

まあ、単なる憂さ晴らしだったのでしょう。いわゆる”カスハラ”の現場に遭遇した瞬間でした。とはいえ、あまりにも理不尽なので、運転手が気の毒に思えました。

言うまでもなく、バスの中は一転してどんよりした空気感に。みんな無言になってしまいました。私にとって、せっかくのムーバス初乗車なのに。あ~やれやれ。

私が気がかりだったのは、このバスの運転手が間違いなく強いストレスを抱えながら運転しているはずだということ。

「ブチ切れて、いきなりアクセル全開で暴走したらどうしよう?」

そんな心配は杞憂でした。運転手は淡々と仕事を遂行してました。そこはやはりプロフェッショナル。

そんな中、次のバス停の案内が流れました。

「次は~、花の通学路~、花の通学路~♪」

思わず、電光掲示板を二度見。

なんという衝撃的なネーミング。近くに亜細亜大学があるので、それに因んでいるのかしら?

いずれにせよ、私の中でさっきまでの緊迫ムードが一気に崩れ始めました。

例えるならば、ボクシングの試合前に選手同士がにらみ合っている中、両者の間をいきなり「エリマキトカゲ」が走り抜けていったような感覚とでも言えば、雰囲気が伝わるでしょうか?(伝わるわけねーだろ!)

バスを降りた時の私は、不自然な爽快感に包まれていました。

次の台風の日が、楽しみになってきました(こら!)

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