小心者の大冒険(2)
(前回の続きになります)
店員:「お好きな席へどうぞー!」
そう声をかけられることが、今回の来店にあたっての大前提でした。
もし「カウンターへどうぞ」と言われたら、そこで冒険は終了でした。まずは第一関門突破。
最初は窓側のテーブル席に目がとまりましたが、調理場に近いテーブル席の方がセルフサービスのウォーターサーバーが近かったので、そちらを選択しました。
そして、緊張しながら着席。
椅子に腰かけた瞬間、勇気を出して未知なる領域へ踏み出した自分に対し、わき上がる自尊心を感じました(←いい大人が何やってんだよ)
しかし、次に待ち構えるのは第二関門。料理が到着するまで、妄想という“見えない敵”と戦い続けました。
入り口のドアが開くたびに、サッと振り返り、
「ああ良かった。2人だ。団体じゃなかった。」
といった警戒と安堵を繰りしました。
ある程度の時間が過ぎ、「そろそろかな」と思った頃、ある重大なミスに気付きました。
私が座っていた席は、テーブル席とはいえ、調理場の出口から一番近い場所にあったのです。
つまり、5~6歩も歩けば、テーブルに到着する距離。
この距離なら、むしろ配膳ロボットを使わない方が、明らかに手間も時間もかかりません。もし私が店員だったら、間違いなく手で運んでいることでしょう。
「ああ、やっちまったか…」
仮に、今ここに座っているのが小さな子ども連れの家族だったら、店員が気を利かせてロボットに運ばせるかもしれません。
でもまさか、ここに“大きな子ども”がいるとは思ってもいないでしょう。
私は今回、わざわざランチタイムを外して来ました。ランチタイムなら、私の頼んだメニューは100円安く食べられます。
大きな犠牲を払ってまで、ロボットに会いに来たのです。それなのに、とほほ…。
そんな絶望感を感じ始めていた時、
軽快な音楽にのせて、かわいい配膳ロボットが動き出しました。
驚いたことに、それは私の方にまっすぐ近づいてきました。
その時の興奮ときたら、まさに幼少時代、デパートのレストランで店員が自分のお子様ランチを運んで来た時の興奮と同じでした。
一方、そんな幸福な時間の最中にも、冷静な自分がいました。
「いや、ちょっと待てよ。直前でくるっと方向転換し、目の前を素通りするってオチかも?“今の自分”なら十分にあり得る。」
そんな疑いが頭をよぎった直後、ロボットは方向を変えず、私の目の前にピタッと停止しました。目に映ったのは、私が注文したラーメンと餃子。
「あ、あ、あったぁぁーーっ!」
それはまるで、受験の合格発表で、掲示板に自分の番号を見つけた時のような歓喜でした。
数十年振りに食べたお子様ランチ?の味は、しばらく忘れられそうにありません。
とはいえ、一週間に3回もラーメンと餃子を食べてしまったので、今は胃の状態が少し心配です。
☆ ☆ ☆
さあ、2月に入りました。
いよいよ、受験シーズンの“ど真ん中”に突入!
10年に一度と言われる「最強寒波」に負けないくらい、みんな炎のラストスパートを灯しています。
ゴールテープは、もう目の前です。
(↑構成が反対だろ)