自転車に乗って(3)
前回の続きになります。
そして教室の帰り道は、自転車をこぎながら、
「あの説明で良かったのかな?」
「上手く説明できなかった。あ~くやしい。次回リベンジだ。」
「ギャグが受けた。なんか嬉しい~。」
「“おやじギャグ”って言われた。ちょっと傷ついた~。」(←現在は“そう”言われると喜びます)
こんな反省会を、いつも開催していました。
当時の私の講師力なんて、今になって思えば、詐欺師みたいなもの。
でも、「足りない学力は、やる気と愛情があればカバーできる!」と本気で信じ、意気揚々と仕事をしていました。
10日の夜、20年前と同じ道の上を走りながら、怖いもの知らずの青二才だった頃の自分が思い出されました。
☆ ☆ ☆
4月7日、緊急事態宣言が発令され、とうとう教室から生徒の姿が消えました。
私はその日、オンライン授業に向けて教室の配置を変えながら「当面、私の前に座るのは、生徒ではなくパソコンなんだ。」と覚悟を決めました。
しかし、準備を進めながら、オンライン授業という未知なる世界に足を踏み入れることに対し、不安感を払拭できずにいました。
でも、そんな不安の塊は、この道を通り抜けた頃には、溶けてなくなっていました。
「あのなあー、仮に100%未知だったとしても、それって未経験のくせに塾講師を始めた時と同じだろ!少なくとも、それ以下じゃねーだろが!」
20年前の新米塾講師に、そう叱られた思いがしたからです。
3日後、
初めてオンライン授業に臨んだ4月14日、
家を出て、自転車のペダルを回しながら、
「よーし、今日からは新米オンライン塾講師だーー!スタートラインだーー!やる気と愛情だぁーーー!!」
そう自分自身に檄を飛ばしながら、意気揚々と武蔵野市へ向かいました。
*ちなみにこの日は、向かい風という洗礼を受けていたのですが、文章の余韻が薄れるので省いておきます。
*また、自転車に乗りながら自分に檄を飛ばす行為は、傍目から見たら不気味です。良い子の皆さんは、真似しないようにしましょう。