模試の結果を見て
Tさん「いやだぁ〜、どうしよぉ〜。こんなの絶対に見せられない!!」
小池「そんなぁ〜、見たいよぉ〜。見たい、見たい、見せて!」
Tさん「いやぁ〜、絶対にダメ!!」
小池「いやぁ〜、絶対に見る!」
傍から見ると、“駄々をこねる子供と大人”である。
センター模試の結果が返ってきたのだが、本人が怖がるほど点数が飛躍していたのだ。科目によっては偏差値が70に到達していた。
「こんなの私じゃなーい!どーしよー!」
信じられなくて、解答と答案を何度も何度も見比べたそうだ。
確かにマーク試験は、運の要素が働くことだってある。しかし、単に運が良かっただけでは、複数教科に渡っての飛躍は普通あり得ないだろう。教科によっては思い切って解く順番を変えたりするなど、それなりに作戦は立てて試験に臨んでいるので、単なる偶然ではないのだが・・。
「今日から、もっともっと、もーーっと勉強する。」
そう言って彼女は、黙々と勉強を始めた。
悪かった模試の結果を見て、青ざめて勉強に取り組むという話はよく耳にするが、良かった模試の結果を見て、青ざめてそれに見合った人間になろうと勉強するケースは、正直初めてお目にかかった。
将来は看護師を目指している彼女。高い評価を受けてもあぐらをかかない姿勢に触れ、不思議と嬉しくなってしまった。
「彼女に担当してもらう患者さんは、きっとラッキーだな・・。」
自然と笑みがこぼれた。
(小池)