新・西遊記
夏期講習も、残すところあと6日となりました。
メダルラッシュの東京オリンピックが終わり、毎日スーパーハイテンションで授業をしていたエンちゃんは、今は抜け殻のように静かになりました。
ぽっかり空いた心の穴を埋めようとするかのように、現在は流行りの邦楽やK-POPを生徒から教えてもらい、翌日にそれを聞いた感想を生徒に伝えるという、変な行動にいそしむようになりました。
雑談中は、その話題で盛り上がっています。休み時間にはTWICEの曲が教室に流れる始末。
高橋:「なんか、新しい世界に目覚めそうだ。」
どうやら、新しい孫悟空が誕生しそうです。
☆ ☆ ☆
小池:「あ~、生きかえったぁ~」
猛暑の中の自転車出勤直後、扇風機の強風を浴びながら、そう言おうとして、
小池:「あ~、生まれかわったぁ~」
Hさん:「??」
微妙にずれていたようです。
その数分後、
Hさん:「なんかぁ~、扇風機って~、じっ~と見ていると、」
小池:「見ていると?」
Hさん:「お腹が減ってきませんか?」
小池:「どうしてそうなる?」
☆ ☆ ☆
夏期講習中、気付けば朝から晩まで教室で勉強している真面目な中3生Nさん。
中2で英検準2級を取得し、都立模擬の英語では満点を取るほどの切れ者ですが、授業中、ボソッと理科が苦手であると弱音をこぼしました。
私って、おかしいのかな~、と少し真剣に悩んでいる感じもしました。
長年この仕事をしてきて思うのは、英語を得意とする生徒が理科を苦手とするなんて、日常茶飯事だということ。ラーメン屋の券売機で、味付け卵が別料金になっているくらい、よくあることなんです(どんな例えだ)
だから、別に異常でも何でもないと励ましました。
そんな話をした後、Nさんは気を取り直して問題に取りかかりはじめました。
数分後、苦笑いを浮かべていた彼女。
Nさん:「せ、せんせ~。」
小池:「ん?なんか難しい問題でも紛れ込んでいた?」
そう言ってのぞき込むと、そこにあったのは、
英語に直しなさい。
― 私は全ての教科の中で、理科が1番好きです。―
彼女にとっては、別の意味で難問のようです。