今年を振り返って2022(3)
(前回の続きになります)
そんな時、駅前にある評判の良いクリニックの存在を思い出しました。
思い切って訪ねたところ、1週間後に胃カメラ検査をすることになり、ひとまず胃酸を抑える薬を1週間分処方されました。
さっそく、食事中に驚くべきことが起きました。
いつものように背中に痛みは出たものの、その痛みが“別種の感覚”に変化していたのです。素人でも、胃に施した薬が何かしら”作用している”ことは直感で分かりました。
つまり、痛みの原因は膵臓ではなくて、胃である可能性が濃厚になったのです。
その時の安堵感は、言葉では表現しきれません。翌日、二度と食べられないと思っていた牛丼を口にした時の喜びは、生涯忘れないことでしょう。(もちろん、痛みは出ましたが…汗)
おそらくその時の私は、日本一満面の笑みで、牛丼チェーン店で食事をしていた人間だったと言っても過言でありません。
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1週間後、人生で初めての胃カメラを経験し、その後の診断で胃がピロリ菌に感染していると知らされました。すぐさま除菌に入りました。
ピロリ菌抗体濃度というのがあり、一般的に数値が3を下回っていると陰性(未感染)らしいのですが、私のは79でした。ぶっちぎりで感染…(汗)
数値の大きさが症状にどう影響するのかは、素人の私には分かりませんが、ヤバそうなことくらいは想像できます。
実際、私の胃はピロリ菌が原因で、かなり腫れている状態になっていました。
通常ならば、除菌した後の1年後に胃の様子を見るために再検査をするそうですが、私の場合は腫れがすごいらしいので、半年後に行うことに。
ピロリ菌に感染すると慢性的な胃炎となり、胃癌のリスクが5倍以上に高まるそうです。日本人の胃癌の99パーセントは、ピロリ菌感染によるものだと後から知って驚きました。
その一方で、胃の炎症が広がると痛みが背中の方にまで到達することがあると知り、ようやく背中の痛みに対する恐怖心から解放されました。
何はともあれ、私はこのクリニックのおかげで救われました。
もしも、そのまま“痛みと上手く付き合って”いたら、胃癌に向かって走り続けていたことになります。
☆ ☆ ☆
最初の病院を責めるつもりはありません。私自身、膵臓を疑っていたので、医師も膵臓に焦点を当てて考えてくださったのだと思います。
そもそも、私が最初の段階でショートカットせずに現在のクリニックに向かっていたら、問題はなかったはず。
結局、ショートカットしたせいで、原因が分かるまで1か月以上遅れることになったのです。
その1か月分の差がどれだけ治療に影響を及ぼすのか、素人の私には分かりません。でも、病気の治療は早ければ早いほど良いと、昔から言われています。
もしかしたら、今頃、グラス1杯のビールくらいは飲めていたかもしれません。
悔やまれるのは、今回のショートカットは自分が選んだものであるということ。
そして、この行為こそが、自分がこれまでやってきたことに対する“裏切り行為”そのものであったと、今は思えてなりません。(続く)