今年を振り返って2022(4)
(前回の続きになります)
今になって思うと、当時の私が下した判断は、
「近所に気になる小料理屋があったけど、とりあえず居酒屋チェーン店に入った。」
という判断と似ているものがあり、この業界で例えるなら、
「近所に塾があったけど、とりあえず大手予備校に入った。」
という事例に近いものがあると思えます。
情けないことに、今回の私の判断は、ある意味で自分自身に対する裏切りでした。
一般的に学習塾というものは、大手予備校の下位に位置する存在のように思われがちです。それは重々承知しております。
しかし、少なくとも当塾のCEOと私は、そのような気持ちは持ち合わせておりません。
もちろん、どっち方が上とか下とか、優劣の話をするつもりはありません。
双方ともにアプローチ法が異なるだけで、塾も予備校も目指す方向は同じだからです。
予備校には予備校の、塾には塾の個性というものがあります。
中3の教科書 New Crownに出てくる黒猫ゾルバのセリフ
Cats do cat things. Gulls do gull things.
猫には猫のやるべきことがあり、カモメにはカモメのやるべきことがある。
が、まさにそれではないでしょうか。
テレビに登場する有名な先生が授業を行ったり、共通テストのリサーチを全国規模で実施できるなど、予備校には予備校のすごさがあります。
一方、生徒との距離が近いゆえに、勉強だけでなく、他の要因を考慮した上できめ細かい進路指導が行えるという塾の個性も、決して捨てたものではありません。
私とエンちゃんは、塾ならではの小回りの利く指導を武器に、予備校とは違ったアプローチで各生徒の希望進路の実現に向けて奮闘しています。また、それに誇りを持っています。
こんな“想い”で仕事を続けてきたはずなのに、いざ自分が窮地に立たされた時、その“理念”をどこかで裏切ってしまったのです。
病院を選ぶ際、「大は小を兼ねるだろう」という選択をしたことが、まさにそれです。
しかし結局私は、ここで言うところの“小”であるクリニックによって救われました。
大切なのは、自身の備える個性に誇りを持ち、そして、その個性を信じること。
そんな基本的なことを忘れかけていたと、3月の当塾創立10周年を前にして気付かされました。
その代償と言っては何ですが、まだ当面の間は胃に優しい食事をしなければなりません。今年のクリスマスはチキンを一切口にできず、禁酒生活は6か月目に突入しました。
また、体をストレスから守るために、25年以上住んでいた場所を離れる結末となりました。
今は武蔵野市のお隣り小金井市の住民です。なかなか高い授業料となりました…(汗)
☆ ☆ ☆
夏期講習という一番の繁忙期に、全く使い物にならない私を見捨てなかったエンちゃんや、授業日程の変更に快く協力してくれた生徒さん、そして、引っ越しを手伝ってくれた家族の存在など、今回の件で私は様々な人に支えられました。
月並みな言葉ではありますが、「人は生きているのではなく、生かされている。」こんな当たり前のことを、今更ながら噛みしめております。
そんな周りの人たちに感謝しながら、今年はノンアルコールビールで乾杯しながら、新しい年を迎えたいと思っています。
*今回の件を通し、現在まさに慢性膵炎を患いながらも、決して絶望することなく自らの闘病記をブログ等で発信している方々がいることを知りました。そういった人々の心の強さに、私は勇気づけられました。また、私自身の視野も広がりました。現在この病に苦しむ方々のクオリティ・オブ・ライフが、医学の進歩に伴って少しでも改善されることを、心より祈ります。
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最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
毎年恒例となりましたが、こんな冗長な自分語り文を最後まで読んでくれたあなたは、当塾の関係者か、単なる変わり者です。ありがとうございました!
それでは、マスクをした生徒の皆さん、
マスクをした保護者の皆さま、
マスクをしたご近所の皆さま、
そして、いつも素通りされるマスクをした通行人の皆さま、
今年も本当にお世話になりました。来年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。
皆さまが、実りある2023年を迎えられますように。
それでは、よいお年をお迎えください。