受験直前期。

エンちゃんの世界においては、“世界の中心で関数を叫ぶ”時期。中二病の世界に生きる小池においては、地下室でこっそり青春の早弁を敢行する時期。両名を知る生徒たちは、呆れて過去問を解き始める時期。毎年の恥ずかしい光景であり、何とかしなければならないと言われていた。

「あのっ、せんせーーー!」

授業中、目の前の生徒に声をかけられた。困惑した生徒がこちらを向いていた。彼は現在都立入試の練習問題に挑む中学3年生である。入塾当初からとにかく変わり者で、良い意味でも悪い意味でも“名物キャラ”を狙っている。

「質問の方は・・・」と言いかけて、私はすぐに口を閉じた。彼の困った表情を一目見て、答えはすぐに判ったからだ。

「もう、さっきからずっと抑えてますよ。通常の5倍くらいの量かな。まったく、今ここでクシャミしたら、絶対テロになっちゃいますよ!」

地下室へ向かって大急ぎ。ティッシュ箱を抱えて戻ってきた。

受験直前期。

エンちゃんが血相を変え、テスト対策に奔走する時期。見えない花粉と戦う受験生と、喜怒哀楽を共にする時期。そして、2ヶ月後の桜花を、心から願い続ける時期。

(*講師日記 2010/11/23「勤労感謝の日」を参照しました)

小池