名前の入ったマッチ箱

彼女から当時のジャムの思い出話を聞かされると、現在のエンちゃんが比べものにならないくらい「人間らしく丸く」なったことに気付かされます。

仮に、現在のエンちゃんの口から飛び出す暴言・珍言の数々を一年分集めたって、当時の一週間分にしかならないでしょう。

だから、今の塾の現状を聞いて彼女は、

「へえ~、あのエンちゃんが、ねえ~。」

と、まるで親戚の子どもの成長を見守るおばさまのように、驚かれておられました。

私の方も、自分の中で都合よく記憶を消し去っていただけで、「色々と恥ずかしいことをやらかしていた」という事実を再確認する羽目に。

「二人とも若かった」という結論でごまかしました。

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彼女と会っていつも感心するのは、常人離れした超実力者でありながらも、一切「上から目線」的な雰囲気がないところです。

今でも我々に対し、生徒時代の口調で話してくれます。

個人としては、彼女のような殿上人からだったら、たとえ両手にムチを持った状態で「思いっきり上から目線」で話しかけられても、私は“喜んでひざまずきながらお話を頂戴する”所存でございますが…。

でも、そういう人間に限って、そんな野暮なことはしないものなんです。

ある意味で「天は二物を与える」のです。

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酒宴も終わりに近づいた頃、彼女からお土産の「マッチ」を頂きました。

以前の私はヘビースモーカーで、彼女が生徒だった時代には、休み時間になる度に速攻でタバコを吸いに教室を飛び出していました。

挙げ句の果てに、スーツにタバコの匂いを染みつけたまま教室に戻ってくるという始末。恥ずかしい黒歴史を刻んでいました。

その時のイメージも、15年間色あせていないようです…。