こういう日もあるさ(2)
*前回の続きになります。
その日のオンライン授業を無事に終え、
恒例の「有酸素運動帰宅」に励んでいた時のこと。
境浄水場の脇を通り抜けて数百メートル進んだ地点で、突然、
「がちゃgぽdじゃxxがご」
自転車から異音が発生しました。
「ま、まさか…おい。」
チェーンが外れた?
これだけだったら、何十倍もマシでした。だって、チェーンをはめればいいだけのことですから。多少手が汚れるだけです。
ところが不運にも、ギヤとホイールの間?というか、何とも絶妙なポジションにある溝に、チェーンがガチっと挟まってしまっていました。
相当強く引っ張りましたが、全くびくともしません。
何度か引っ張るうちに、手は油まみれ&若干血まみれになっていき、工具がないと“にっちもさっちもいかない状態”だと諦めました。
緊急事態宣言が発令され、多くの店舗が営業時間を短縮している状況の中、深夜に営業しているようなとち狂った自転車屋、またはホームセンターなんてありません。
まだ教室から1キロも離れていない場所&もう終電には間に合わない時間。
不遇な状況に置かれた自分を客観的に眺め、ふと頭に浮かんだ曲は、
平松愛理の「もう笑うしかない♪」(古っ!)
幸いなことに、タイヤは普通に回ってくれたので、足で地面を蹴って前に進むという乗り方で、遥か彼方にある荻窪を目指すことにしました。
時に両足で、時に右足で、時に左足で、地面を蹴って自転車を前に押し出しました。
それはまるで「子どもが初めて補助輪なしで自転車に乗る時の動作」そのもの。
5月○×日深夜、「井の頭通り」と「五日市街道」に“子ども返り”を果たした大人が出現!はたから見て、おぞましい光景だったことでしょう。
吉祥寺を1キロほど過ぎると、西荻窪の少し手前まで全体的に緩やかな下り坂が続きました。束の間の休息タイム。普段は意識しない地形の高低というものに対して、こんなにも感謝の念を抱いたのは初めてでした。
この辺りから、いわゆるランニングでいうところの「セカンドウインド」に入り、心も体も軽くなり始めました。
最後の1キロは、今日という日を振り返りながら、
「明け方の騒動に始まり、深夜の”スーパー有酸素運動帰宅”で締めくくりか…。」
セカンドウインドのおかげなのか、不思議と悲観に暮れることはありませんでした。
むしろ、汗でびしょ濡れになった自分を客観的に見ながら、25年以上前の平松愛理の名曲を口ずさみ始めていました。
「♪世界いーち、ひーらきなおーーって、鼻歌っ、もうーわーらーうしかーなーい♪」
「アハハ~、なんか楽しいなあ~。」
その後2~3日、変な箇所の筋肉痛で苦しんでいたことは、言うまでもありません。