ものは言いよう
お久しぶりです。
気が付けば、前回のスマホ紛失からちょうど1か月が経ち、陽気が恐ろしいほど涼しくなりました。
さて、現在の教室は高校生の定期テスト対策に追われており、主に高校1、2年生たちでごった返しております。
高3生とは違い、部活動などを行った後で塾に来るわけですから、授業開始時は、クタクタで眠そうな生徒や、気持ちがあまり乗らない生徒も混ざっています。
それでも授業が終わると、ある程度の達成感というものを感じるため、それなりに清々しい顔つきになります。
そんな中で、2コマ連続の授業を終えた高校生M君。
M君:「あ~、やり切った。清々しいなあ~。まるで一服している気分のようだ。」
隣にいた女子高生がドン引き。
小池:「ま・さ・か、吸っているのか?」
M君:「ち、違いますよ。タバコを吸っている人を見ていると、そう思えるんです。」
小池(小声でボソッと):「罪悪感しか感じないよ…。」
M君:「??」
小池:「あ、一応、元ヘビースモーカーだから。」
私は12年ほど前まで喫煙者でした。
タバコは最初のひと口ふた口が一番うまくて、残りは惰性です。1本を最後まで吸い終わった時には、頭のぼんやり感と罪悪感に包まれるだけでした。
そんな私が3回目の挑戦でなんとか禁煙に成功することができたのは、12年前のこと。
M君と会話をしながら、そんな昔のことを思い出しました。
すると、我ながらいやらしいことに、禁煙に成功した話をぶち込んで、さり気なく意志の強さをアピールしてやろうという幼稚な思考に陥りました。
その矢先のこと、
M君:「タバコと言えば、以前、高校で数学の先生が面白いこと言ったんですよ。」
小池:「何て言ったの?」
M君:「俺は禁煙に5回成功したことがある。」
小池:「わおーっ…」
M君:「それって、裏を返せば4回失敗したってことですよね。超ウケたんですけど。」
禁煙の5回目は3回目よりも遥かにハードルが高いと思われます。この先生には、私よりも強い意志が要求されたはず。
しかも”5回成功した”と言い換えることで、あえて4回の失敗を匂わせて生徒を笑わせる。なんという巧みな話術。
3回目程度で自慢話をしようとしていた自分が、ミジンコのように小さく見え始めました。
小池:「か、完敗です…。ぐすん。」
M君:「??」