人の振り見て
授業終了後、生徒が全員帰宅してから20分以内くらいのこと、
突然、入り口の自動ドアが開き、
生徒:「せ、せ、せんせーーっ!!」
慌てて駆け込んでくる生徒。
小池:「どうしたの?忘れ物かい?」
生徒:「す、す、スマホーーっ!!」
授業中に使っていた机に向かって猪突猛進。
数秒後、
生徒:「あ、あ、あったぁーーっ!よ、よがっだぁ~うぅ~。」
これは、実際に放課後の教室で時々見られる光景です。
今やスマホは、多くの生徒にとって体の一部。
見つかった時の生徒の安堵に満ちた表情を見ると、紛失が発覚した時は、銀行カードやクレジットカードが入った財布を落としたような衝撃だったんだろうな、と思えてきます。
小池:「よかったね~。これからは、気を付けないと。」
生徒:「はい。」
これまでは、偉そうにそんなことを言っていましたが、とうとう私もスマホを紛失するという経験をしてしまいました。
教室で何気に自分のカバンの中を覗くと、そこにあるはずのスマホがない!
確かに、これは”全部入り”の財布を落としたような衝撃でした。
スマホを失くしても位置を特定できるアプリがありますが、面倒くさがり屋の私は、当然そのようなアプリはインストールしていませんでした。
顔面蒼白になりながら、一つだけ心当たりがあったラーメン屋に塾の電話から連絡を取りました。その日は教室に向かう前に、そこで食事をしていました。
店員の反応から、どうやらスマホの忘れ物があったことがうかがえました。発見時刻は私が店を出た時間とほぼ同じとのこと。
ほっとして胸をなでおろしていると、
店員:「一応確認のために、機種や特徴について教えていただきたいのですが。」
小池:「あ、はい。」
実は、これは私にとってはかなりの難問でした。
小池:「えーと。iPhoneとかではなくて、普通のスマホです(←すでに答えになっていない)。あっ、あと背面に透明のカバーが付いています。」
店員:「色は何色ですか?」
小池:「えぇっと、画面は黒で(←当たり前だろ!)、裏面の色が白、いや灰色っぽいです。」
店員:「何か特徴はありますか?」
小池:「特徴ですか?う~ん、透明のカバーが付いている以外には、特に特徴がないのが特徴でして。」
店員(半笑いで):「はい、分かりました。確認が取れました。」
小池:「あ、ありがとうございます。」
翌日、お店まで直接スマホを取りに行きましたが、これが結構恥ずかしかったです。
その日の授業で、
生徒:「よかったですね~。これからは、気を付けてください。」
小池:「はい…。」