英語に苦手意識を持つ公立中3年生のY君が、果敢にも英検準2級(高校2年修了程度)に挑んだのは1学期のこと。

英文ライティングが導入された初回の試験でもありました。

毎年、中3の時点で準2級に挑む生徒は一定数おりますが、ほとんどの挑戦者は2学期の10月に挑みます。

2学期になってからとは言えど、初めて過去問を見た中3生は、知らない単語の洪水に自信を無くすことも少なくありません。舐めてかかると火傷する試験です。

そんな中で、Y君は1学期に挑戦しました。

新形式のライティングを含め、塾として一通りの対策は施しましたが、中3の1学期時点のY君にとって、これは大きすぎる挑戦にも思えました。

心無い人間ならば、無謀なチャレンジと言ったかもしれません。

ところがY君は、英語の苦手意識を払拭するキッカケを自ら探し求めているのか、決して記念受験でも様子見の受験でもなく、本気で勝ちに行くモードで勉強していました。

そして・・・

なんと、自分よりも英語を得意とする中学の知人がことごとく撃沈した中で、唯一1次試験を突破したのです。

英文ライティング(記述試験)が入っているので、「マークが当たってラッキー」といったふざけた偶然では、もちろん合格できませんよ。

それだけに、結果を聞いた時は、思わず歓喜の声が上がりました。

☆ ☆ ☆

その後に待っていたのは、もちろん2次対策。

英語に苦手意識を持つ生徒にとって、英会話の練習なんて、もう嫌がらせ以外の何物でもありません。

しかし彼は、授業終了後のマンツーマン面接練習に、毎回しっかり足を運んできました。

そして、いよいよ試験前夜、

最後の練習では、問題なく合格点に到達できる、しっかりとした応答ができていました。

小池:「じゃあ、明日は堂々と!」

Y君:「なんか、いけるかもしれない。いける気がするっ!頑張ってきます!」

彼はそう言って、颯爽と教室を出ていきました。

何となく、英語にちょっぴり自信をつけたように見えたY君の表情が、個人的にはとても嬉しく思われました。

☆ ☆ ☆

2日後

教室にやってきたY君の表情は、浮かないものでした。

最初の音読のところで、簡単な単語を読み間違えてしまったとのこと。それを引きずって、なかなか思うようにいかなかったと、エンちゃんに話していました。

Y君:「面接官の人は、とてもフレンドリーな感じだったのに~。あ~、もったいない~。」

と、肩を落としていました。

苦手意識を持っていた英語に対して、せっかく自信が芽生え始めたというのに。

なんかタイミングが悪すぎて、何とも言えませんでした。

小池(心の声):「でも、まだ2学期があるじゃないか。今回のはリハーサルだと考えよう!次回は間違いなくリベンジをかけた壮絶な練習になるから、今はゆっくり休んでおくれ。」

そのような配慮で、その日から私は、2次試験の結果発表を待たずして、彼に英検の話題を持ち出すことは控えました。

☆ ☆ ☆

時は過ぎ、9月25日。

「そろそろ、再チャレンジに向けて、Y君に話を切り出してもいい頃だな。」

私は思い切って、Y君に話を始めました。

ところが、

何を言われているのか、わけワカメで、ポカーンとしているY君。

エンちゃん:「あっれ~?コピーして渡した2次試験の結果一覧、見ていませんでしたか~?」

“見ていた”とは思うのですが、“次回リベンジだ!”という勝手な私の思い込みから、肝心なところを見落としていたようです…。

しばらくして、事態を把握したY君からも、

Y君:「あ、前回、受かっていましたよ。」

名刺管理サービスのコマーシャルに出てくる「松重豊」氏のセリフが、そのまま口から出てきました。

小池:「それさぁ、早く言ってよぉ~